そして北へ 稲荷神の焦り

2019年8月22日

ちょいとまた物語風に・・・こんな日常です。

まだ気がつかぬか・・・ まだか・・・ 我は待っているのだ、お前が気づくのを、一族の中の役目あるものよ、霊(ヒ)の長じたものよ・・・ われ天の法則は徹頭徹尾曲がるを許さぬ・・・ 急ぎ働きたし・・・

家の者が困ったようにいう。

「昨日ね、お父さんが食卓に立っていたのよ。」

「どんな感じだった?」

「ひどく淋しそうな感じ。ご供養が足りてないのかしら。」

「いや、そんなことはないだろうが。 何か入用または要望があるのか聞いてみるよ。」

聞いてみる、というのはまだ修行中のわが身では分りきらないので、かれこれ3年近くアドバイスを受けているわかる人に尋ねるのだ。

・・・

「お稲荷さんね。」

「えっ、またですが。」

「ちょっと立ち寄ったか、悪戯かな。」

「悪戯って、何度目でしょう。 変に好かれているのでしょうかねえ。」

「さあ、どうでしょう。 ハハハ」

・・・

まただ、まただ、何故稲荷神、お稲荷様、がこうも自分の前に現れるのだろう、意味がわからない。
もう何年になろうか、不思議現象にはなれていたはずだが、とにかく何かあって、調べるとお稲荷様が多いのだ。
確かに、自分が良かれと思ってやったいわゆる宗教的と言うかスピ的とでもいうか、良かれと思ってやった行法がうまくなかったみたいで、その結果かどうか、いろんな霊の巣みたいに何重にもなって青息吐息の時、やっと気づいたか、と言うことでその霊体の塊をべりべりとはがしてくれたのは稲荷様だった。 あの経験は実感として強烈にのこっているな。
宇迦之御魂神様が稲荷様にとっての神様で、とか知識をひけらかした際には笑われたね、しかし。 小知を笑え、と言うことだろうか。
・・・

「あ~、どうして今日はこんなに稲荷様が来るんだろうね。 貴方に関係あるはずよ。」

「と言われましてもねえ、すぐに思い出せなくて」

「お稲荷さんなら、伏見系、笠間系、豊川系、正一位系などなど系列があるのよね。」

「仏教からのダキニ天様も系統なのですね。」

「神様の間でもお互いにいろいろ意見が違うようなこともあるみたいで、なかなか人間の知識や常識では理解できないようね。 そして今日はとにかく稲荷さまなのよ。」

そうそう、現世も神様一人ですべて統括されているようではないようだ。それは実感しつつある。 また根源神にお願いはまったく的外れなようだ。 まあ、願いも恨み事も通じんでしょうが。

神々の働きは専門的であったり、さらなる上位の神というか天と言うかからのお役目もあるみたいだ。 神様になったから酒でも飲んで寝てようかなんて無理な様子かな。 神というのは自由自在と言う意味でもあるが、どうもいろんな側面があるようです。

さて、私に関係する稲荷様、か。 では時計を過去に回し、頭の中に地図を広げて逐一調べて行こう。 時と処の二局面から捜索のお得意方法だ。 調べる、探す、こだわる、捨てる、色をみる、風を聞く、川に流れはいかがか、山の高さ、並びは、日の光は、誰と会ったか? 海の色で嵐の来訪を知るか、今、昨日、一週間前、一年まえ、10年前・・・  東京は、埼玉は、横浜は、故郷の山口は。

うっすらと感じるのは、埼玉と山口だ。  ああ、そういえば・・・

「おい、貴様なんだ。本気で祈っているのか、このバカ野郎!!!」

なんだ、このくそ坊主。 相談承るということで、来てみれば馬鹿扱いか。 あ、でも他のひとにもそうなんだよな。 「口が悪いわよ」、と信者さんに事前に言われたが。悪いものなんてもんじゃあないな。 でも本当か、やんごとなき方々にも関係するとかしないとか。 霊力は猛烈らしいということで、相談にきたのだが。

個別の相談時間にて

「あ~、お前のな、先祖が稲荷を深く信仰しておったようじゃ。 その稲荷を知っているか。」

「いや、正直こころあたりがありません。 不動様を信仰をしておりましたが。」

「家族に聞いてみるのだ。 お前は分家じゃな。 本家にも聞いてみよ。 そして、その稲荷がまつられている場所にお前自身が行き、写真を撮ってまた持って来い」

これが埼玉、と思いだした事柄だ。 このあと続きがあるが、そういえば、その後、家のものに聞くと、本家の誰かがそれは熱心にまた篤く信仰していたらしい。 結局、ここがそうだというところは見つからなかったのは2年前の夏に山口に帰った時だ。

・・・と言うことで、山口県のお稲荷様のことじゃあないかと。

「そう、それ。 やっと気がついたな、と言われているよ。」

こんな時は背中がぶるっとするものだ。 こんな話をすると必ずやってくる人か、動物か、あともっと神々に近い方もやってこられて、やりでさしたり、首を絞めたりして煩わしいが、こんな重大事には不思議と何事もない。

「これは、立派なお稲荷さんよ。 人間が祀らないで何年も経つと怖い場合があるのよ。でもこのお稲荷さんは立派よね。 ああ、早速本宮にお帰りのようですよ。」

こんな話を聞いている私は神仏のお姿がちらりと見えるようになって、あまりに美しかったり神々しいお姿に感動しますが、なぜか稲荷様の姿は見えません。 そんなに立派な稲荷様ならお姿を見たかった。

「今日は良かった。もうお働きをされるかも知れないわね。」

「お役目というかそんなはなしですかね。 どんなことなんでしょう。」

「北よ。わかるでしょう。」

辛い立場にしっかりと耐えられ、日本の危難に神として敢然と立ちいかんとするそのお気持ち、お姿、心に響きます。 ありがたし。

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